【 解除により物権変動が生じた場合い。】
1 Aは,A所有の土地を、Bに対し、1億円で売却する契約を締結し,手付金
として1,000万円を受領した。Aは,決済日において、登記及ぴ引渡し
等の自己の債務の履行を提供したが、Bが,土地の値下がりを埋由に残代金
を支払わなかったので,登記及ぴ引渡しはしなかった。この場合、民法の規
定及こ判例によれぱ、Bが,AB間の売買契約締結後、この土地をCに転売
する契約を締結していた場合い,Aは,AB聞の売買契約を解除しても、C
のこの土地を取得する権利を害することはできない。
2 AからB、BからCに、甲地が順次売却され、AからBに対する所有確移転
登記がなされた,この場合、民法の規定及ぴ判例によれば,BからCへの売却
後,AがAB間の契約を適法に解除して所有権を取り戻し場合、Aが解除を理
由にして所有権登記をBから回復する前に,その解除につき善意のCがBから
所宥権移転登記を受けたときは、Cは甲地の所有権をAに対抗できる。
(H13)
3 A所有の土地について,AがBに、BがCに売り渡し、AからBへ、Bから
Cへそれぞれ所有権移転登記がなされた場合に関して,民法の規定によれば,
Cが移転登記を受ける際に,AB間の売買契約に解除原困が生じていること
を知っていた場合で、当該登記の後にAによりAB間の売買契約が解除され
たとき、Cは、Aに対して土地の所有者の取得を対抗できない。
4 AからB、BからCに、甲地が順次売却され、AからBに対する所宥権移転
登記がなされた。この場合,民法の競定及び判例によれぱ、BからCへの売
却前に、AがAB間の契約を適法に解除して所宥権を取り戻した場合、Aが
解除を理由にして所有権登記をBから回復する前に,その解除につき善意の
CがBから甲地を購入し、かつ,所有権移転登記を受けたときは、Cは甲地
の所有権をAに対抗できる。{H13)
【解除により物権変動が生じた場合】
1 × 設問のCは、解除前に現れた第三者である。解除前に現れた第三者
Cは,登記を備えていれぱ、Aに対抗できる(民法第545条第1項)
したがって,Cには登記がないので,Aは解除による無効を主張する
ことができる。
2 ○ 1の解説参照。設問のCは解除に現れた第三者である。第三者Cは登
記を備えているので,Aに対抗できる。
3 × 1の解説参照。設問のCは解除前に現れた悪意(解除原困が生じてい
ることを知っていた。)の第三者である。解除前に現れた第三者Cは、
善意であることまでは要求されておらず,登記さえ備えていれぱ,Aに
対抗できる(民法第545条第1項)
4 ○ 設問のCは解除後に現れた第三者である。解除後に第三者Cが現れた
場合AとCは先に登記を備えた方が相手方に対抗できる。したがって、
Cは登記を備えているので、甲地の所宥権をAに対抗できる(民法第1
77条)。