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爆撃予想問題 : 第34回 相殺
投稿者: matsuo 投稿日時: 2020-05-03 18:00:31 (59 ヒット)

問8 AがBに対して100万円の金銭債権,BがAに対して100万円の同種の債権を有する場合の相殺(AB間に特約はないものとする)に関し,次のそれぞれの記述は,民法の規定及び判例によれば○か,×か。(平成7年・問8)

1.「Aの債権が時効によって消滅した後でも,時効完成前にBの債権と相殺適状にあれば,Aは,Bに対して相殺をすることができる。」

2.「Aの債権について弁済期の定めがなく,Aから履行の請求がないときは,Bは,Bの債権の弁済期が到来しても,相殺をすることができない。」

3.「Aの債権が,Bの不法行為によって発生したものであるときには,Bは,Bの債権をもって相殺をすることができない。」

4.「CがAの債権を差し押さえた後,BがAに対する債権を取得したときは,Bは,Aへの債権との相殺をもってCに対抗することはできない。」

1. 【正解:○】 時効によって消滅した債権が、時効の完成前に相殺適状であったとき、債権者は相殺をすることができます(民法第508条)。
 つまり、対立する両債権が相殺に適している状態であったにもかかわらず、消滅する債権の所有者が気づかずに成立したときであっても、当事者間の信頼関係(取引の慣行)を保護する趣旨から、時効消滅の例外規定として、相殺することができます。
もし、相殺適状できないとすると、AはBへの債権が消滅した後、一方的にBに対する債務を弁済することになり、片手落ちになります。

2.【正解:×】 判例によれば、「弁済期の定めのない債権は、常に弁済期にあるものであり、これを受働債権(相手に取られる債権)とし、弁済期の到来している自働債権(自分が受け取る債権)で相殺することができる」とされ、相殺できます(第505条)。(判例は、大審院・昭8.9.8)
 つまり、弁済期の定めのない債権(例えば「いつでもいいから払ってね」など)とは、受け取った時点から弁済期であり、すでに弁済期の到来している債権と、弁済期の定めのない債権をもって相殺することができる、ということです。

3. 【正解:○】 例えば、BがAに貸している10万円を、Aがなかなか弁済をしてくれないため、アタマにきたBが、故意にAの乗用車に損害額10万円相当のキズを付け(不法行為)ても、Bはそのその損害賠償義務をもって先の貸金と相殺(チャラ)することはできないということで、不法行為の誘発の防止のほか、不法行為者に現実の弁済をなさしめる趣旨の規定であると考えられています。
 逆にいえば、債務が不法行為をもって生じたときは、その債務者は、それをもって債権者に対抗することはできません(第509条)。
 ムツカシク言うと、「不法行為に基づく債権を受働債権として相殺することはできない」≪参考≫ この場合は、Aからのみ、相殺できます。

4. 【正解:○】 債権の差押えがなされると、差し押さえられた債権の債務者はその債権の債権者に弁済すること(支払いすること) が禁じられます。 (支払いの差し止め)
 
※差し押さえられた債権の債権者も、差し押さえられた債権について弁済受領や債権譲渡などの債権の処分が制限されます。(民事執行法)
※差し押さえられた債権の債務者が差し押さえられた債権の債権者に弁済しても、差押債権者には主張できません。
  
 これは意味を把握するのがなかなか難しい問題です。必ず相関図を書いて解答を導くように習慣付けましょう。
 差し押さえによって支払いを差し止められた(第481条)場合には、その後に取得した反対債権をもって相殺しても、差押債権者を害することになり、差押制度の実効性が失われるため、BはAの債権と相殺をすることはできず、したがってBは相殺による債務の消滅を主張することはできません。(第511条)。
 AB間だけをみると一見相殺できるように見えますが、CによってAの債権は差し押さえられているので、BはAに支払うことを差し止められています。もしBが相殺できるとすると、CはAの債権を差し押さえることによってCの債権を回収しようとする意図が意味をなさず、Cが保護されません。また、Bは、Aの債権が差し押さえられた後にAに対する債権を取得しているので、相殺されないことをBは事前に知っていることになります。
■相殺禁止事由のまとめ
・当事者が相殺禁止の特約をしているとき。
・民法によって相殺が禁止されているとき。
 受働債権が 不法行為によって生じた場合(509条)⇒設問3
 受働債権が 差押えが許されない場合(510条) 扶養料・賃金を請求する債権
 受働債権が 支払いの差し止めを受けている場合(511条)⇒設問4
 自働債権が 支払いの差し止めを受けている場合(481条)
・判例
 自働債権に「同時履行の抗弁権」や「催告・検索の抗弁権」が付着しているときは 相殺できない。

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