第5回 爆撃予想問題
時 効
◆◆ 学習ポイント◆◆--------------------------------------
1.取得時効が完成するための要件
2.消滅時効が完成するための要件
3.時効の中断の要件
試験対策としてはこの3つ。
きょうはその中の一つ取得時効を演習問題をしながら勉強してゆきたいと思います。
◆◆◆ 取得時効の完成するための要件のポイント ◆◆◆
取得時効の成立の要件をしっかり理解する事。
□成立要件------------------------------------------------
所有の意思をもって平穏かつ公然に他人の物を占有し、一定期間継続すると時効が成立する。
□時効での所有の意思とは?
□時効での占有とは? >>>>これらの3がポイント!
□一定期間とは?
◆◆ 演習問題 ◆◆--------------------------------------
AがBの所有地を長期間占有している場合の取得時効に関する次の記述のうち、民法
の規定および判例により○×で答えてください。
1.Aが善意無過失で占有を開始し、所有の意思をもって、平穏かつ公然に7年間占有を
続けた後、Cに3年間賃貸した場合、Aはその土地の所有権を時効取得出来ない。
2.Aが善意無過失で占有を開始し、所有の意思をもって平穏かつ公然に7年間占有を続
けた後、その土地がB所有のものであることを知った場合、Aは、その後3年間占有を続
ければ、その土地の所有権を時効取得できる。
3.Aが善意無過失で占有を開始し、所有の意思をもって、平穏かつ公然に7年間占有を
続けた後、BがDにその土地を売却し、所有権移転登記を完了しても、Aは、その後3年
間占有を続ければ、その土地の所有権を取得し、Dに対抗することができる。
4.Aが20年間平穏かつ公然に占有を続けた場合においても、その占有が賃借権に基づ
くもので所有の意思がないときは、Bが賃料を請求せず、Aが支払っていないとしても、A
はその土地の所有権を時効で取得する事はできない。
◆◆ 問題解説 ◆◆-----------------------------------------------------------
1,他人の物を直接占有していた者が、他人に占有(間接占有)、させた場合でも、占有は
継続するとされます。よってAは、10年間占有を続けたことになり、その土地の所有権
を時効取得てきます。
◆ ここでのポイントは!
間接占有でも、Aが直接占有したと同じくみるという所です。
2,占有の善意・無過失・悪意・有過失の有無は、あくまでも占有開始時点で決まります。
従って占有開始時に善意無過失であれば、その途中で他人の物と知ったとしても(悪
意)、10年経過すれば時効取得できます。また悪意・善意有過失の場合は20年で時
効が成立します。
◆ ここでのポイントは!
善意無過失などの判断はどこで定まるかと言うことです。この場合は占有開始時だけ
で考えるといことです。
3,時効完成進行中に、原所有者が権利を移転しても、時効は中断されません。また、時
効による権利の取得は、時効完成時の権利者には、登記なくして対抗できます。
4,所有権を時効取得するためには『所有の意思』が必要であり、賃貸人として占有を開
始した者は所有の意思は認められません。ただし、途中で所有の意思があることを宣言
すればそのときから20年を経過すれば時効取得することができます。
◆ ここでのポイント!
取得時効が成立するためには所有の意思ある占有が必要であり、賃貸借のように所
有の意思がなければいくら占有しても時効取得できません。
◆◆ 解 答 ◆◆------------------------------------------------------------
1 × 2 ○ 3 ○ 4○
第4回爆撃予想問題
4回目の爆撃予想問題
代 理 2
◆◆ 学習ポイント ◆◆
今回は、無権代理人てはなく、有権代理の演習を行います。
有権代理の問題で最も多く出題されているのが、代理人が詐欺・強迫等などにより、契約をして
しまった場合、その契約はどのような結果になるのか?と言う問題です。
★ ポイント>> 実際に契約しているのは代理人ですから、瑕疵の原因については本人ではな
くあくまでも代理人で判断すれば良いわけです。では演習問題をやってみましょう。
問題 BがAの代理人として、Cとの間でA所有の土地の売買契約を締結した場合に関する次
の記述のうち、民法の規定及び判例により○×で判断して下さい。
A (本人) −−−− C(相手)
契 約
B(代理人)
1 Aから土地売買の代理権を与えられていたBが、売却代金を自ら遊行費に消費する意図
でCに売却したが、CはBの意図をしっていたときでも、Aは土地をCに引き渡さなけれ
ばならない。
2 Aから、土地売買の代理権を与えられていたBが、Dから詐欺されて、詐欺の事実に善
意のCに土地を売却した場合でも、本人Aは詐欺を理由にAC間の売買契約を取り消すこ
とが出来る。
3 Cの詐欺によってBが契約を締結した場合、Bは契約を取り消すことが出来る。
4 Bが未成年者であり、法定代理人の同意がないことを理由に、売買契約の後に授権行為
を取り消した場合は、売買の交果はAな及ばない。
◆◆ 解 説 ◆◆
1 相手方Cが、代理人の濫用目的につき悪意または善意有過失の場合は、93条ただし書
き(心裡留保)を類推適用して、本人Aは無効を る。よってAは土地をひき渡さ
ないで済む。
判例は代理人が本人のためにすることを表示しながら、自己のためにするという真意と
の間に食い違いがあり、それを知りつつ行っている点で心裡留保に類似するという考えで
心裡留保の規定を類推適用しているわけである
2 代理人Bが第三者Dから詐欺されて本人Aの土地をCに売却しているが、これは、Aが
Dに騙されて、騙されたAが善意のCに売却した場合と同様に考えることができる。(第
三者の詐欺)。したがって、Cが善意のときはAは取り消すことが出ない。
3 Cの詐欺による場合、代理人Bが取り消す事が出来るかどうかは、Bの代理権の内容に
よるもので、代理権に取消権が与えられていない限り、本人Aのみが取消得る
4 代理人は能力者であることを要しないとするという趣旨と相手方の地位の保護のため、
委任契約を取り消しても代理権に基づいてなされた行為は影響を受けない。
◆◆ 解 答 ◆◆
1×2×3×4×
3回目爆撃予想問題
代 理
◆◆ 学習ポイント ◆◆------------------------------------
過去において代理人の問題はほぼ毎年出題されています。その 最も多く出題されて
いるのが無権代理人がなした契約の問題です。
ここは無権代理人が締結した契約において 〜 本人、相手、無権代理人は、それぞ
れ何が主張できるかに問題を絞って演習して行きたいと思います。
◆◆ 爆撃予想問題 ◆◆------------------------------------
Aの所有する不動産についてBが何らの権限がないのに、Aの 代理人としてCと売買
契約を締結した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しい
ものはどれかそれぞれ○×で答えてください。
A(本人)---------C(相手)
売買契約
B
(無権代理人)
問題1 Aが当該不動産を第三者Dに譲渡した場合、AはCに対して対して追認するこ
とは出来ない。
問題2 CはBに代理権がないことを知っていた場合でも、Aが追認するまでの間は当
該契約を取り消すことが出来る。
問題3 BがAの子であった場合に、Aが死亡し、Bが相続したときは、Bは追認を拒絶
することはできない。
問題4 CがAに対して相当の期間を定めて追認するか否か確答すべき旨を催告した
にもかかわらず、Aが確答しないまま催告期間を徒過したときは、Aは追認した
ものとみなされCはAに対し当該不動産の引き渡しを請求することができる。
◆◆ 解 説 ◆◆---------------------------------------------------
解説1 二重譲渡することは可能である。よって誤り
解説2 取消権が行使できるのは相手方が善意の場合に限られる。悪意の場合は催
告権しか認められていないので、誤りということになる。
解説3 無権代理人が本人を相続した場合、無権代理行為は有効となり、無権代理人
は、本人の立場を主張し、追認を 拒絶する事はできない。したがって正しい。
解説4 本人の確答が得られない場合は、その意思がないということであるから、追認
拒絶とみなみなされる。したがってCはAに不動産の明け渡しを請求することは
出来ない。よって 誤り。
解答 1 × 2 × 3 ○ 4 ×
◆◆◆ ポイント ◆◆◆***************************************
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権 利 | 内 容 相 手
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催告権 |○ 相当の期間を定めて催告 > 善意悪意
|○ 期間内に確答がなければ追認拒絶 を問わない
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取消権 |○ 本人の追認するまでの間ならOK! > 善 意
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責 任 |○ 履行の請求又は損害賠償の請求のい > 善意無過失
追 及 | ずれか請求できる。
| ただし、無権代理人が制限能力者の
| 時は不可。
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第3回 爆撃予想問題
爆撃予想問題
2回目の爆撃
瑕疵ある意思表示について演習問題をやって行きたいとおもいます。
◆◆◆ 学習便ポイント◆◆◆-----------------------------
1 瑕疵有る意思表示をした者は、その契約を取り消すことが出来るか、又は無効を主
張することができるか!
2 その無効・取消の主張を第三者に対してできるか!
◆◆◆ 予 想 問 題 ◆◆◆----------------------------
1 A所有の土地をBに売却する契約を締結した場合。AのBに対する売却の意思表示
がCの詐欺によって行われた場合で、BがそのCによる詐欺の事実を知っていたとき
は、Aは、売却の意思表示を取り消すことが出来る。
2 AのBに対する売却の意思表示がBの強迫によって行われた場合、Aは、売却の意
思表示を取り消すことが出来るが、その取消をもって、Bからその取消前に当該土地
を買い受けた善意のDには対抗できない。
3 Aが、自分の真意でないと認識しながらBに対する売却の意思表示を行った場合で
、 BがそのAの真意を知っていたとき Aは、売却の意思表示の無効を主張でき
る。
4 AのBに対する売却の意思表示につき法律行為の要素に錯誤があった場合、Aは、
売却の意思表示の無効を主を張できるが、Aに重大な過失があったときは、無効を主
張できない。
5 AとBは、A所有の土地について、所有権を移転する意思がないのに通謀して売買契
約を締結し、Bの名義に移転登録をした。Bがこの土地にCに対する抵当権を設定、
その登記をした場合で、CがAB間の契約の事情を知っていたときは、Aは、Cに対し
て抵当権設定行為の無効を主張することができる。
6 上記の例で、今度はBがこの土地をDに売却し、所有権移転登記をした場合で、Dが
AB間の知らなかったことについて過失があるときは、Aは、Dに対してこの土地の所
有権を主張できる。
◆◆◆ 解 説 ◆◆◆--------------------------
1 第三者Cが詐欺をしたとき、相手方Bがそのことを知らなかったときは取り消せない
が、知っていたときは取り消すことが出来る。
2 おどされて意思表示をした者を保護する必要が大きいので、脅迫を理由とする取消
は、善意の第三者Dにも対 抗できる。
3 心裡留保による意思表示は、相手方が冗談であることを知っていたり(悪意)、注意
すれば冗談とわかったはずだ(過失)という場合は、無効を主張できる。
4 要素に錯誤がある場合は、原則として無効を主張できるが、表意者に重大な過失が
あるときは無効の主張は許されない。
5 虚偽による無効は、悪意の第三者Cには対抗できる。従って、AはCに、Cの抵当権
は無権利者であるBが設定したものであり、無効だと主張ができる。
6 虚偽による無効は、善意の第三者には対抗できない。第三者は善意のみでたりる。
過失があっても保護される
解答--------------------------------------
1 ○ 2 × 3 ○ 4 ○ 5 ○ 6 ×
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◆◆◆ 一 言 ◆◆◆------------------------------
瑕疵有る意思表示は無効か取り消すことが出来るか、善意の第三者には対抗できるか
が大きなポイントとなります。これをまとめると次のようになります。
A----------------->B--------------->C
売 主 買 主 第三者
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原 因 当事者の場合 第三者に対=============================================
心裡留保 原 則> 有 効 Cが善意の時、Aに対抗できる。
例 外> 無 効
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虚偽表示 > 無 効 Cが善意の時、AはCに対抗できない。
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錯 誤 > 無 効 善意の第三者に対して無効 を主張できる。
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強 迫 > 取 消 善意、悪意を問わずAは取消の効果を主張できる
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詐 欺 > 取 消 Cが善意の時は取消を主張できない。
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1回目の爆撃
制限能力者について演習問題をやって行きたいとおもいます。
◆◆◆ 学習ピンポイント ◆◆◆-----------------------------------------------
1、制限能力者した契約は、有効か、無効か、それとも取消すことができるか!
2、無効の主張・取消の主張を第三者にできるか!
3、制限能力者と契約した相手方はどのようなことが言えるのか!
◆◆◆演習問題 こう出る!◆◆◆---------------------------------------------
1、 成年被後見人が単独で行った法律行為は、日用品の購入その他日常生活に関
する行為を含め、取り消すことが出来る。
2、 未成年者は、単に権利を得、又は義務を免れる行為を除き、法定代理人の同
意なく行った行為は、無効である。
3、 保佐人は、被保佐人の単独では行うことが出来ない法律行為を単独で行った
場合は、これを取り消すことが出来る。この取消は善意の第三者に対しても対
抗できる。
4、 被保佐人がおこなった行為の相手方は、保佐人に対し、当該行為を追認する
か否かを確答すべき旨を催告することができ、一定期間内に保佐人が確答しな
いときは、当該行為は取り消されたものとみなされ。
◆◆◆ 解 説 ◆◆◆-----------------------------------------------------------
1、成年被後見人の法律行為は、取り消すことが出来るが、日用品の購入その他の日常生活に関する行為についてはこの限りではありません。(民法9条)
2、未成年者とは、20歳未満の者をいいます。未成年者が法律行為をする場合、原則として法定代理人の同意が必要です。同意を得ないでなした法律行為は取り消すことが出来ます。ここでは無効ではなく、取り消すことが出来るです。
3、被保佐人が単独で行うことが出来ない法律行為を単独で行った場合は、保佐人はその法律行為を取り消すことが出来ます。この取消は、善意の第三者に対してもすることができます。
4、被保佐人の相手方は、保護者である保佐人に対して、当該契約を追認するかしないかを確答すべき旨を催告することが出来ます。これに対し、一定期間内に保佐人が確答しないときは、当該法律行為は追認があったものとみなされます。