平成16年度 宅地建物取引主任者 問題(権利編)
平成16年度 宅地建物取引主任者試験
【権利関係】
**********************************************************
〔問1〕 A所有の土地につき,AとBとの間で売買契約を締結し,Bが当該土地につき第三
者との間で売買契約を締結していない場合に関する次の記述のうち,民法の規定
によれば,正しいものはどれか。
1 Aの売渡し申込みの意思は真意ではなく,BもAの意思が真意ではないことを知ってい
た場合,AとBとの意思は合致しているので,売買契約は有効である。
2 Aが,強制執行を逃れるために,実際には売り渡す意思はないのにBと通謀して売買
契約の締結をしたかのように装った場合,売買契約は無効である。
3 Aが,Cの詐欺によってBとの間で売買契約を締結した場合,Cの詐欺をBが知ってい
るか否かにかかわらず,Aは売買契約を取り消すことはできない。
4 Aが,Cの強迫によってBとの間で売買契約を締結した場合,Cの強迫をBが知らなけ
れば,Aは売買契約を取り消すことができない。
【正答率 90.2%】
〔問2〕 B所有の土地をAがBの代理人として,Cとの間で売買契約を締結した場合に関
する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,正しいものはどれか。
1 AとBとが夫婦であり契約に関して何ら取り決めのない場合には,不動産売買はAB夫
婦の日常の家事に関する法律行為の範囲内にないとCが考えていた場合も,本件売
買契約は有効である。
2 Aが無権代理人である場合,CはBに対して相当の期間を定めて,その期間内に追認
するか否かを催告することができ,Bが期間内に確答をしない場合には,追認とみなさ
れ本件売買契約は有効となる。
3 Aが無権代理人であっても,Bの死亡によりAがDとともにBを共同相続した場合には,
Dが追認を拒絶していても,Aの相続分に相当する部分についての売買契約は,相続
開始と同時に有効となる。
4 Aが無権代理人であって,Aの死亡によりBが単独でAを相続した場合には,Bは追認
を拒絶できるが,CがAの無権代理につき善意無過失であれば,CはBに対して損害賠
償を請求することができる。
【正答率 44.1%】
〔問3〕 Aは,自己所有の建物をBに売却したが,Bはまだ所有権移転登記を行っていな
い。この場合,民法の規定及び判例によれば,次の記述のうち誤っているものはど
れか。
1 Cが何らの権原なくこの建物を不法占有している場合,Bは,Cに対し,この建物の所
有権を対抗でき,明渡しを請求できる。
2 DがAからこの建物を賃借し,引渡しを受けて適法に占有している場合,Bは,Dに対
し,この建物の所有権を対抗でき,賃貸人たる地位を主張できる。
3 この建物がAとEとの持分1/2ずつの共有であり,Aが自己の持分をBに売却した場
合,Bは,Eに対し,この建物の持分の取得を対抗できない。
4 Aはこの建物をFから買い受け,FからAに対する所有権移転登記がまだ行われてい
ない場合,Bは,Fに対し,この建物の所有権を対抗できる。
【正答率 47.7%】
〔問4〕 共に宅地建物取引業者であるAB間でA所有の土地について,平成16年9月1
日に売買代金3,000万円(うち,手付金200万円は同年9月1日に,残代金は同
年10月31日に支払う。)とする売買契約を締結した場合に関する次の記述のうち,
民法の規定及び判例によれば,正しいものはどれか。
1 本件売買契約に利害関係を有しないCは,同年10月31日を経過すれば,Bの意思
に反しても残代金をAに対して支払うことができる。
2 同年10月31日までにAが契約の履行に着手した場合には,手付が解約手付の性格
を有していても,Bが履行に着手したかどうかにかかわらず,Aは,売買契約を解除で
きなくなる。
3 Bの債務不履行によりAが売買契約を解除する場合,手付金相当額を損害賠償の予
とする旨を売買契約で定めていた場合には,特約がない限り,Aの損害が200万円を
超えていても,Aは手付金相当額以上に損害賠償請求はできない。
4 Aが残代金の受領を拒絶することを明確にしている場合であっても,Bは同年10月
31日には2,800万円をAに対して現実に提供しなければ,Bも履行遅滞の責任を負
わなければならない。
【正答率 72.7%】
〔問5〕 A所有の土地の占有者がAからB,BからCと移った場合のCの取得時効に関す
る次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,正しいものはどれか。
1 Bが平穏・公然・善意・無過失に所有の意思をもって8年間占有し,CがBから土地の
譲渡を受けて2年間占有した場合,当該土地の真の所有者はBではなかったとCが
知っていたとしても,Cは10年の取得時効を主張できる。
2 Bが所有の意思をもって5年間占有し,CがBから土地の譲渡を受けて平穏・公然に5
年間占有した場合,Cが占有の開始時に善意・無過失であれば,Bの占有に瑕疵があ
るかどうかにかかわらず,Cは10年の取得時効を主張できる。
3 Aから土地を借りていたBが死亡し,借地であることを知らない相続人Cがその土地を
相続により取得したと考えて利用していたとしても,CはBの借地人の地位を相続する
だけなので,土地の所有権を時効で取得することはない。
4 Cが期間を定めずBから土地を借りて利用していた場合,Cの占有が20年を超えれ
ば,Cは20年の取得時効を主張することができる。
【正答率 58.1%】
〔問6〕 AとBが1,000万円の連帯債務をCに対して負っている(負担部分は1/2ずつ)
場合と,Dが主債務者として,Eに1,000万円の債務を負い,FはDから委託を受け
てその債務の連帯保証人となっている場合の次の記述のうち,民法の規定によれ
ば,正しいものはどれか。
1 1,000万円の返済期限が到来した場合,CはA又はBにそれぞれ500万円までしか
請求できないが,EはDにもFにも1,000万円を請求することができる。
2 CがBに対して債務の全額を免除しても,AはCに対してなお500万円の債務を負担し
ているが,EがFに対して連帯保証債務の全額を免除すれば,Dも債務の全額を免れ
る。
3 Aが1,000万円を弁済した場合には,Aは500万円についてのみBに対して求償す
ることができ,Fが1,000万円を弁済した場合にも,Fは500万円についてのみDに
対して求償することができる。
4 Aが債務を承認して時効が中断してもBの連帯債務の時効の進行には影響しないが,
Dが債務を承認して時効が中断した場合にはFの連帯保証債務に対しても時効中断の
効力を生ずる。
【正答率 63.8%】
〔問7〕 次の記述のうち,民法の規定によれば,誤っているものはどれか。
1 土地の所有者は,隣地から雨水が自然に流れてくることを阻止するような工作物を設
置することはできない。
2 土地の所有者は,隣地の所有者と共同の費用をもって,境界を表示すべき物を設置
することができる。
3 土地の所有者は,隣地から木の枝が境界線を越えて伸びてきたときは,自らこれを切
断できる。
4 土地の所有者は,隣地から木の根が境界線を越えて伸びてきたときは,自らこれを切
断できる。
【正答率 73.6%】
〔問8〕 Aは,B所有の建物を賃借し,毎月末日までに翌月分の賃料50万円を支払う約
定をした。またAは敷金300万円をBに預託し,敷金は賃貸借終了後明渡し完了後
にBがAに支払うと約定された。AのBに対するこの賃料債務に関する相殺について
の次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,正しいものはどれか。
1 Aは,Bが支払不能に陥った場合は,特段の合意がなくても,Bに対する敷金返還請
求権を自働債権として,弁済期が到来した賃料債務と対当額で相殺することができ
る。
2 AがBに対し不法行為に基づく損害賠償請求権を有した場合,Aは,このBに対する損
害賠償請求権を自働債権として,弁済期が到来した賃料債務と対当額で相殺すること
はできない。
3 AがBに対して商品の売買代金請求権を有しており,それが平成16年9月1日をもっ
て時効により消滅した場合,Aは,同年9月2日に,このBに対する代金請求権を自働
債権として,同年8月31日に弁済期が到来した賃料債務と対当額で相殺することはで
きない。
4 AがBに対してこの賃貸借契約締結以前から貸付金債権を有しており,その弁済期が
平成16年8月31日に到来する場合,同年8月20日にBのAに対するこの賃料債権
に対する差押があったとしても,Aは,同年8月31日に,このBに対する貸付金債権を
自働債権として,弁済期が到来した賃料債務と対当額で相殺することができる。
【正答率 40.7%】
〔問9〕 AはBに甲建物を売却し,AからBに対する所有権移転登記がなされた。AB間の
売買契約の解除と第三者との関係に関する次の記述のうち,民法の規定及び判
例によれば,正しいものはどれか。
1 BがBの債権者Cとの間で甲建物につき抵当権設定契約を締結し,その設定登記をし
た後,AがAB間の売買契約を適法に解除した場合,Aはその抵当権の消滅をCに主
張できない。
2 Bが甲建物をDに賃貸し引渡しも終えた後,AがAB間の売買契約を適法に解除した場
合,Aはこの賃借権の消滅をDに主張できる。
3 BがBの債権者Eとの間で甲建物につき抵当権設定契約を締結したが,その設定登記
をする前に,AがAB間の売買契約を適法に解除し,その旨をEに通知した場合,BE
間の抵当権設定契約は無効となり,Eの抵当権は消滅する。
4 AがAB間の売買契約を適法に解除したが,AからBに対する甲建物の所有権移転登
記を抹消する前に,Bが甲建物をFに賃貸し引渡しも終えた場合,Aは,適法な解除後
に設定されたこの賃借権の消滅をFに主張できる。
【正答率 48.5%】
〔問10〕 宅地建物取引業者ではないAB間の売買契約における売主Aの責任に関する
次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,誤っているものはどれか。
1 Bは住宅建設用に土地を購入したが,都市計画法上の制約により当該土地に住宅を
建築することができない場合には,そのことを知っていたBは,Aに対し土地売主の瑕
疵担保責任を追及することができない。
2 Aは,C所有の土地を自ら取得するとしてBに売却したが,Aの責に帰すべき事由に
よってCから所有権を取得できず,Bに所有権を移転できない場合,他人物売買であ
ることを知っていたBはAに対して損害賠償を請求できない。
3 Bが購入した土地の一部を第三者Dが所有していた場合,Bがそのことを知っていたと
しても,BはAに対して代金減額請求をすることができる。
4 Bが敷地賃借権付建物をAから購入したところ,敷地の欠陥により擁壁に亀裂が生じ
て建物に危険が生じた場合,Bは敷地の欠陥を知らなかったとしても,Aに対し建物売
主の瑕疵担保責任を追及することはできない。
【正答率 19.4%】
〔問11〕 AはBと,それぞれ1,000万円ずつ出資して,共同で事業を営むことを目的とし
て民法上の組合契約を締結した。この場合,民法の規定によれば,正しいものはど
れか。
1 AとBは,出資の価額が均等なので,損益分配の割合も均等に定めなければならな
い。
2 組合への出資金で不動産を購入し組合財産とした場合,この組合財産は総組合員の
共有に属する。
3 組合財産たる建物の賃借人は,組合に対する賃料支払債務と,組合員たるAに対す
る債権とを相殺することができる。
4 組合に対し貸付金債権を取得した債権者は,組合財産につき権利行使できるが,組合
員個人の財産に対しては権利行使できない。
【正答率 35.8%】
〔問12〕 自己所有の建物に妻Bと同居していたAが,遺言を残さないまま死亡した。Aに
は先妻との間に子C及びDがいる。この場合に関する次の記述のうち,民法の規定
及び判例によれば,正しいものはどれか。
1 Aの死後,遺産分割前にBがAの遺産である建物に引き続き居住している場合,C及
びDは,Bに対して建物の明渡しを請求することができる。
2 Aの死後,遺産分割前にBがAの遺産である建物に引き続き居住している場合,C及び
Dは,それぞれBに対して建物の賃料相当額の1/4ずつの支払いを請求することがで
きる。
3 A死亡の時点でBがAの子Eを懐妊していた場合,Eは相続人とみなされ,法定相続分
は,Bが1/2,C・D・Eは各1/6ずつとなる。
4 Cの子FがAの遺言書を偽造した場合には,CはAを相続することができない。
【正答率 68.5%】
〔問13〕 AはBに対し甲建物を月20万円で賃貸し,Bは,Aの承諾を得た上で,甲建物
の一部をCに対し月10万円で転貸している。この場合,民法及び借地借家法の規定
並びに判例によれば,誤っているものはどれか。
1 転借人Cは,賃貸人Aに対しても,月10万円の範囲で,賃料支払義務を直接に負担
する。
2 賃貸人Aは,AB間の賃貸者契約が期間の満了によって終了するときは,転借人Cに
対しその旨の通知をしなければ,賃貸借契約の終了をCに対し対抗することができな
い。
3 AB間で賃貸借契約を合意解除しても,転借人Cに不信な行為があるなどの特段の事
情がない限り,賃貸人Aは,転借人Cに対し明渡しを請求することはできない。
4 賃貸人AがAB間の賃貸借契約を賃料不払いを理由に解除する場合は,転借人Cに
通知等をして賃料をBに代わって支払う機会を与えなければならない。
【正答率 54.5%】
〔問14〕 貸主A及び借主Bの建物賃貸借契約に関する次の記述のうち,賃料増減請求
権に関する借地借家法第32条の規定及び判例によれば,正しいものはどれか。
1 建物が完成した時を始期とする賃貸借契約において,建物建築中に経済事情の変動
によってAB間で定めた賃料が不相当になっても,建物の使用収益開始前にBから賃
料減額請求を行うことはできない。
2 AB間の建物賃貸借契約が,Bが当該建物をさらに第三者に転貸する事業を行ういわ
ゆるサブリース契約である場合,使用収益開始後,経済事情の変動によってAB間で
定めた賃料が不相当となっても,Bから賃料減額請求を行うことはできない。
3 Bが賃料減額請求権を行使してAB間に協議が調わない場合,賃料減額の裁判の確
定時点から将来に向かって賃料が減額されることになる。
4 Aが賃料増額請求権を行使してAB間に協議が調わない場合,BはAの請求額を支払
わなければならないが,賃料増額の裁判で正当とされた賃料額を既払額が超えるとき
は,Aは超過額に年1割の利息を付してBに返還しなければならない。
【正答率 26.6%】
〔問15〕 不動産の仮登記に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
1 仮登記の申請は,申請情報と併せて仮登記義務者の承諾を証する情報を提供して,
仮登記権利者が単独ですることができる。
2 仮登記の申請は,申請情報と併せて仮登記を命じる処分の決定書正本を提供して,
仮登記権利者が単独ですることができる。
3 仮登記の抹消の申請は,申請情報と併せてその仮登記の登記識別情報を提供して,
登記上の利害関係人が単独ですることができる。
4 仮登記の抹消の申請は,申請情報と併せて仮登記名義人の承諾書を提供して,登記
上の利害関係人が単独ですることができる。
【正答率 64.6%】
★ 解 答 ♪ *************************************************************
問1./2 問2./4 問3./2 問4./3 問5./1 問6./4 問7./3 問8./4
問9./1 問10./2 問11./2 問12./3 問13./4 問14./1 問15./3
*************************************************************
平成15 権利関係
*************************************************************************
〔問1〕 意思無能力者又は制限行為能力者に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,正しいものはどれか。
1 意思能力を欠いている者が土地を売却する意思表示を行った場合,その親族が当該意思表示を取り消せば,取消しの時点から将来に向かって無効となる。
2 未成年者が土地を売却する意思表示を行った場合,その未成年者が婚姻をしていても,親権者が当該意思表示を取り消せば,意思表示の時点に遡って無効となる。
3 成年被後見人が成年後見人の事前の同意を得て土地を売却する意思表示を行った場合,成年後見人は,当該意思表示を取り消すことができる。
4 被保佐人が保佐人の事前の同意を得て土地を売却する意思表示を行った場合,保佐人は,当該意思表示を取り消すことができる。
解答/3 正答率 75.4%
〔問2〕 Aは,Bとの間で,B所有の不動産を購人する売買契約を締結した。ただし,AがA所有の不動産を平成15年12月末日までに売却でき,その代金全額を受領することを停止条件とした。手付金の授受はなく,その他特段の合意もない。この場合,民法の規定によれば,次の記述のうち正しいものはどれか。
1 平成15年12月末日以前でこの停止条件の成否未定の間は,契約の効力が生じていないので,Aは,この売買契約を解約できる。
2 平成15年12月末日以前でこの停止条件の成否未定の間は,契約の効力が生じていないので,Bは,この売買契約を解約できる。
3 平成15年12月末日以前でこの停止条件の成否未定の間に,Aが死亡して相続が開始された場合,契約の効力が生じていないので,Aの相続人は,この売買契約の買主たる地位を相続することができない。
4 Aが,A所有の不動産の売買代金の受領を拒否して,故意に停止条件の成就を妨げた場合,Bは,その停止条件が成就したものとみなすことができる。
解答/4 正答率 82.6%
〔問3〕 Aは,自己所有の甲地をBに売却し引き渡したが,Bはまだ所有権移転登記を行っていない。この場合,民法の規定及び判例によれば,次の記述のうち誤っているものはどれか。
1 Cが,AB間の売買の事実を知らずにAから甲地を買い受け,所有権移転登記を得た場合,CはBに対して甲地の所有権を主張することができる。
2 Dが,Bを欺き著しく高く売りつける目的で,Bが所有権移転登記を行っていないことに乗じて,Aから甲地を買い受け所有権移転登記を得た場合,DはBに対して甲地の所有権を主張することができない。
3 Eが,甲地に抵当権を設定して登記を得た場合であっても,その後Bが所有権移転登記を得てしまえば,以後,EはBに対して甲地に抵当権を設定したことを主張することができない。
4 AとFが,通謀して甲地をAからFに仮装譲渡し,所有権移転登記を得た場合,Bは登記がなくとも,Fに対して甲地の所有権を主張することができる。
解答/3 正答率 86.2%
〔問4〕 A,B及びCが,建物を共有している場合(持分を各3分の1とする。 )に関する次の記述のうち,民法の規定によれば,誤っているものはどれか。
1 Aは,BとCの同意を得なければ,この建物に関するAの共有持分権を売却することはできない。
2 Aは,BとCの同意を得なければ,この建物に物埋的損傷及び改変などの変更を加えることはできない。
3 Aが,その共有持分を放棄した場合,この建物は,BとCの共有となり,共有持分は各2分の1となる。
4 各共有者は何時でも共有物の分割を請求できるのが原則であるが,5年を超えない期間内であれば分割をしない旨の契約をすることができる。
解答/1 正答率 82.5%
〔問5〕 Aは,B所有の建物に抵当権を設定し,その旨の登記をした。Bは,その抵当権設定登記後に,この建物をCに賃貸した。Cは,この契約時に,賃料の6ヵ月分相当額の300万円の敷金を預託した。この場合,民法の規定及び判例によれば,次の記述のうち正しいものはどれか。
1 Bが,BのCに対する将来にわたる賃料債権を第三者に譲渡し,対抗要件を備えた後は,Cが当該第三者に弁済する前であっても,Aは,物上代位権を行使して当該賃料債権を差し押さえることはできない。
2 Bの一般債権者であるDが,BのCに対する賃料債権を差し押さえ,その命令がCに送達された後は,Cが弁済する前であっても,Aは,物上代位権を行使して当該賃料債権を差し押さえることはできない。
3 Aが物上代位権を行使して,BのCに対する賃料債権を差し押さえた後は,Cは,Aの抵当権設定登記前からBに対して有している弁済期の到来している貸付金債権と当該賃料債権とを相殺することはできない。
4 Aが物上代位権を行使して,BのCに対する賃料債権を差し押さえた後,賃貸借契約が終了し建物を明け渡した場合,Aは,当該賃料債権について敷金が充当される限度において物上代位権を行使することはできない。
解答/4 正答率 32.9%
〔問6〕 普通抵当権と元本確定前の根抵当権に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,正しいものはどれか。
1 普通抵当権でも,根抵当権でも,設定契約を締結するためには,被担保債権を特定することが必要である。
2 普通抵当権でも,根抵当権でも,現在は発生しておらず,将来発生する可能性がある債権を被担保債権とすることができる。
3 普通抵当権でも,根抵当権でも,被担保債権を譲り受けた者は,担保となっている普通抵当権又は根抵当権を被担保債権とともに取得する。
4 普通抵当権でも,根抵当権でも,遅延損害金については,最後の2年分を超えない利息の範囲内で担保される。
解答/2 正答率 14.6%
〔問7〕 Aは,Aの所有する土地をBに売却し,Bの売買代金の支払債務についてCがAとの間で保証契約を締結した。この場合,民法の規定によれば,次の記述のうち誤っているものはどれか。
1 Cの保証債務がBとの連帯保証債務である場合,AがCに対して保証債務の履行を請求してきても,CはAに対して,まずBに請求するよう主張できる。
2 Cの保証債務にBと連帯して債務を負担する特約がない場合,AがCに対して保証債務の履行を請求してきても,Cは,Bに弁済の資力があり,かつ,執行が容易であることを証明することによって,Aの請求を拒むことができる。
3 Cの保証債務がBとの連帯保証債務である場合,Cに対する履行の請求による時効の中断は,Bに対してもその効力を生ずる。
4 Cの保証債務にBと連帯して債務を負担する特約がない場合,Bに対する履行の請求その他時効の中断は,Cに対してもその効力を生ずる。
解答/1 正答率 86.9%
〔問8〕 Aは,Bに対して貸付金債権を有しており,Aはこの貸付金債権をCに対して譲渡した。この場合,民法の規定及び判例によれば,次の記述のうち誤っているものはどれか。
1 貸付金債権に譲渡禁止特約が付いている場合で,Cが譲渡禁止特約の存在を過失なく知らないとき,BはCに対して債権譲渡が無効であると主張することができない。
2 Bが債権譲渡を承諾しない場合,CがBに対して債権譲渡を通知するだけでは,CはBに対して自分が債権者であることを主張することができない。
3 Aが貸付金債権をDに対しても譲渡し,Cへは確定日付のない証書,Dへは確定日付のある証書によってBに通知した場合で,いずれの通知もBによる弁済前に到達したとき,Bへの通知の到達の先後にかかわらず,DがCに優先して権利を行使することができる。
4 Aが貸付金債権をEに対しても譲渡し,Cへは平成15年10月10日付,Eへは同月9日付のそれぞれ確定日付のある証書によってBに通知した場合で,いずれの通知もBによる弁済前に到達したとき,Bへの通知の到達の先後にかかわらず,EがCに優先して権利を行使することができる。
解答/4 正答率 47.5%
〔問9〕 同時履行の関係に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,誤っているものはどれか。
1 動産売買契約における目的物引渡債務と代金支払債務とは,同時履行の関係に立つ。
2 目的物の引渡しを要する請負契約における目的物引渡債務と報酬支払債務とは,同時履行の関係に立つ。
3 貸金債務の弁済と当該債務の担保のために経由された抵当権設定登記の抹消登記手続とは,同時履行の関係に立つ。
4 売買契約が詐欺を理由として有効に取り消された場合における当事者双方の原状回復義務は,同時履行の関係に立つ。
解答/3 正答率 60.6%
〔問10〕 Aが,BからB所有の土地付中古建物を買い受けて引渡しを受けたが,建物の主要な構造部分に欠陥があった。この場合,民法の規定及び判例によれば,次の記述のうち正しいものはどれか。なお,瑕疵担保責任(以下この問において「担保責任」という。 )については,特約はない。
1 Aが,この欠陥の存在を知って契約を締結した場合,AはBの担保責任を追及して契約を解除することはできないが,この場合の建物の欠陥は重大な瑕疵なのでBに対して担保責任に基づき損害賠償請求を行うことができる。
2 Aが,この欠陥の存在を知らないまま契約を締結した場合,Bの担保責任を追及して契約の解除を行うことができるのは,欠陥が存在するために契約を行った目的を達成することができない場合に限られる。
3 Aが,この欠陥の存在を知らないまま契約を締結した場合,契約締結から1年以内に担保責任の追及を行わなければ,AはBに対して担保責任を追及することができなくなる。
4 AB間の売買契約が,宅地建物取引業者Cの媒介により契約締結に至ったものである場合,Bに対して担保責任が追及できるのであれば,AはCに対しても担保責任を追及することができる。
解答/2 正答率 78.0%
〔問11〕 借主Aは,B所有の建物について貸主Bとの間で賃貸借契約を締結し,敷金として賃料2ヵ月分に相当する金額をBに対して支払ったが,当該敷金についてBによる賃料債権への充当はされていない。この場合,民法の規定及び判例によれば,次の記述のうち正しいものはどれか。
1 賃貸借契約が終了した場合,建物明渡しと敷金返還とは同時履行の関係に立たず,Aの建物明渡しはBから敷金の返還された後に行えばよい。
2 賃貸借契約期間中にBが建物をCに譲渡した場合で,Cが賃貸人の地位を承継したとき,敷金に関する権利義務は当然にCに承継される。
3 賃貸借契約期間中にAがDに対して賃借権を譲渡した場合で,Bがこの賃借権譲渡を承諾したとき,敷金に関する権利義務は当然にDに承継される。
4 賃貸借契約が終了した後,Aが建物を明け渡す前に,Bが建物をEに譲渡した場合で,BE間でEに敷金を承継させる旨を合意したとき,敷金に関する権利義務は当然にEに承継される。
解答/2 正答率 72.7%
〔問12〕 Aが死亡し,それぞれ3分の1の相続分を持つAの子B,C及びD(他に相続人はいない。 )が,全員,単純承認し,これを共同相続した。この場合に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,正しいものはどれか。
1 相続財産である土地につき,遺産分割協議前に,Bが,CとDの同意なくB名義への所有権移転登記をし,これを第三者に譲渡し,所有権移転登記をしても,CとDは,自己の持分を登記なくして,その第三者に対抗できる。
2 相続財産である土地につき,B,C及びDが持分各3分の1の共有相続登記をした後,遺産分割協議によりBが単独所有権を取得した場合,その後にCが登記上の持分3分の1を第三者に譲渡し,所有権移転登記をしても,Bは,単独所有権を登記なくして,その第三者に対抗できる。
3 相続財産である預金返還請求権などの金銭債権は,遺産分割協議が成立するまでは,相続人3人の共有に属し,3人全員の同意がなければ,その債務者に弁済請求できない。
4 Bが相続開始時に金銭を相続財産として保管している場合,CとDは,遺産分割協議の成立前でも,自己の相続分に相当する金銭を支払うよう請求できる。
解答/1 正答率 60.2%
〔問13〕 Aが,Bに,A所有の甲地を建物の所有を目的として賃貸し,Bがその土地上に乙建物を新築し,所有している場合に関する次の記述のうち,借地借家法の規定によれば,誤っているものはどれか。
1 Bが,乙建物につき自己名義の所有権の保存登記をしている場合は,甲地につき賃借権の登記をしていないときでも,甲地をAから譲渡され所有権移転登記を受けたCに対し,甲地の賃借権を対抗できる。
2 乙建物が滅失した場合でも,Bが借地借家法に規定する事項を甲地の上の見やすい場所に掲示したときは,Bは,甲地に賃借権の登記をしていなくても,滅失のあった日から2年間は,甲地をAから譲渡され所有権移転登記を受けたDに対し,甲地の賃借権を対抗できる。
3 Bが,乙建物をEに譲渡しようとする湯合において,Eが甲地の賃借権を取得してもAに不利となるおそれがないにもかかわらず,Aがその賃借権の譲渡を承諾しないときは,Bは,裁判所にAの承諾に代わる許可をするよう申し立てることができる。
4 Bが,乙建物を1年以上自己使用しておらず,かつ,他人に譲渡しようとすることもない場合,Aは,裁判所に,相当の対価の提供を条件として,自ら乙建物の譲渡及び甲地の賃借権の譲渡を受ける旨を申し立てることができる。
解答/4 正答率 51.7%
〔問14〕 平成15年10月に新規に締結しようとしている,契約期間が2年で,更新がないこととする旨を定める建物賃貸借契約(以下この問において「定期借家契約」という。 )に関する次の記述のうち,借地借家法の規定によれば,正しいものはどれか。
1 事業用ではなく居住の用に供する建物の賃貸借においては,定期借家契約とすることはできない。
2 定期借家契約は,公正証書によってしなければ,効力を生じない。
3 定期借家契約を締結しようとするときは,賃貸人は,あらかじめ賃借人に対し,契約の更新がなく,期間満了により賃貸借が終了することについて,その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。
4 定期借家契約を適法に締結した場合,賃貸人は,期間満了日1ヵ月前までに期間満了により契約が終了する旨通知すれば,その終了を賃借人に対抗できる。
解答/3 正答率 85.9%
〔問15〕 不動産登記に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。
1 不動産の登記申請において,申請書に必要な書面又は図面が添付されていない場合には,申請人が即日にこれを補正したときでも,登記官は,理由を付した決定をもって,当該申請を却下しなければならない。
2 抹消登記を申請する場合において,当該抹消される登記について登記上の利害関係を有する第三者があるときは,申請情報に併せて,当該第三者の承諾を証するその第三者が作成した情報又は当該第三者に対抗することができる裁判があったことを証する情報を提供しなければならない。
3 法改正のため削除。
4 登記原因を証する情報として執行力のある確定判決の判決書の正本が提供されている場合でも,法律の規定により第三者の許可がなければ権利変動の効力を生じないとされているときは,別に当該第三者の許可したことを証する情報を提供しなければならない。
解答/2 正答率 78.1%
平成15年 権利関係
平成14年 権利関係
平成14年度
権利関係
******************************
〔問1〕 AがBの欺罔行為によって,A所有の建物をCに売却する契約をした場合に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,誤っているものはどれか。
1 Aは,Bが欺罔行為をしたことを,Cが知っているときでないと,売買契約の取消しをすることができない。
2 AがCに所有権移転登記を済ませ,CがAに代金を完済した後,詐欺による有効な取消しがなされたときには,登記の抹消と代金の返還は同時履行の関係になる。
3 Aは,詐欺に気が付いていたが,契約に基づき,異議を留めることなく所有権移転登記手続をし,代金を請求していた場合,詐欺による取消しをすることはできない。
4 Cが当該建物を,詐欺について善意のDに転売して所有権移転登記を済ませても,Aは詐欺による取り消しをして,Dから建物の返還を求めることができる。
★平成14年度 解答4 正答率 86.6%
〔問2〕 AがBの代理人としてCとの間で,B所有の土地の売買契約を締結する場合に関する次の記述のうち,民法の規定によれば,正しいものはどれか。
1 Bは,Aに対してCとの間の売買契約を委任したが,Aが,DをCと勘違いした要素の錯誤によってDとの間で契約した場合,Aに重過失がなければ,この契約は無効である。
2 Bが,AにB所有土地を担保として,借金をすることしか頼んでいない場合,CがAに土地売却の代理権があると信じ,それに正当の事由があっても,BC間に売買契約は成立しない。
3 Bは未成年者であっても,Aが成年に達した者であれば,Bの法定代理人の同意又は許可を得ることなく,Aに売買の代理権を与えて,Cとの間で土地の売買契約を締結することができ,この契約を取消すことはできない。
4 AがBに無断でCと売買契約をしたが,Bがそれを知らないでDに売却して移転登記をした後でも,BがAの行為を追認すれば,DはCに所有権取得を対抗できなくなる。
★平成14 解答/1 正答率 71.7%
〔問3〕 売主A・買主B間の建物売買契約(所有権移転登記は行っていない。)が解除され,建物の所有者Aが,B居住の建物をCに売却して所有権移転登記をした場合に関する次の記述は,民法の規定及び判例によれば,正しいものはどれか。
1 Aが,Bに対して建物をCのために占有することを指示し,Cがそれを承諾しただけでは,AがCに建物を引き渡したことにはならない。
2 Bが建物占有中に,地震によって玄関のドアが大破したので修繕し,その費用を負担した場合でも,BはCに対してその負担額の償還を請求することはできない
3 Bは,占有中の建物の一部をDに使用させ賃料を受領した場合,その受領額をCに償還しなければならない。
4 Cが暴力によって,Bから建物の占有を奪った場合,BはCに占有回収の訴えを提起できるが,CはBに対抗できる所有権があるので占有回収の訴えについては敗訴することはない。
★平成14 解答/3 正答率 39.2%
〔問4〕 Aは,自己所有の甲土地の一部につき,通行目的で,隣地乙土地の便益に供する通行地役権設定契約(地役権の付従性について別段の定めはない。)を,乙土地所有者Bと締結した。この場合,民法の規定及び判例によれば,次の記述のうち正しいものはどれか。
1 この通行地役権の設定登記をしないまま,Aが,甲土地をCに譲渡し,所有権移転登記を経由した場合,Cは,通路として継続的に使用されていることが客観的に明らかであり,かつ,通行地役権があることを知っていたときでも,Bに対して,常にこの通行地役権を否定できる。
2 この通行地役権の設定登記を行った後,Bが,乙土地をDに譲渡し,乙土地の所有権移転登記を経由した場合,Dは,この通行地役権が自己に移転したことをAに対して主張できる。
3 Bは,この通行地役権を,乙土地と分離して,単独で第三者に売却することができる。
4 Bが,契約で認められた部分ではない甲土地の部分を,継続かつ表現の形で,乙土地の通行の便益のために利用していた場合でも,契約で認められていない部分については,通行地役権を時効取得することはできない。
★平成14 解答/2 正答率 83.8%
〔問5〕 Aは,Bから建物を賃借し,Bに3,000万円の敷金を預託した。その後,Aは,Bの承諾を得て,この敷金返還請求権につき,Cからの借入金債務を担保するために,Cのために適法に質権を設定した。この場合,民法の規定によれば,次の記述のうち正しいものはどれか。
1 Cは,Bの承諾が書面によるものであれば,確定日付を得ていなくても,この質権設定を,B以外の第三者に対しても対抗することができる。
2 CのAに対する利息請求権は,常に満期となった最後の2年分についてのみ,この質権の被担保債権となる。
3 CのAに対する債権の弁済期の前に,この敷金返還請求権の弁済期が到来した場合は,Cは,Bに対し,当該敷金を供託するよう請求できる。
4 CのAに対する債権の弁済期が到来した場合,Cは,Bに対し,Bがこの質権設定を承諾したことを根拠に,この敷金返還請求権の弁済期の前に,当該敷金を直ちにCに交付するよう請求できる。
★平成14 解答/3 正答率 54.7%
〔問6〕 Aは,Bに対する貸付金債権の担保のために,当該貸付金債権額にほぼ見合う評価額を有するB所有の更地である甲土地に抵当権を設定し,その旨の登記をした。その後,Bはこの土地上に乙建物を築造し,自己所有とした。この場合,民法の規定及び判例によれば,次の記述のうち正しいものはどれか。
1 Aは,Bに対し,乙建物の築造行為は,甲土地に対するAの抵当権を侵害する行為であるとして,乙建物の収去を求めることができる。
2 Bが,甲土地及び乙建物の双方につき,Cのために抵当権を設定して,その旨の登記をした後(甲土地についてはAの後順位),Aの抵当権が実行されるとき,乙建物のために法定地上権が成立する。
3 Bが,乙建物築造後,甲土地についてのみ,Dのために抵当権を設定して,その旨の登記をした場合 (甲土地についてはAの後順位),Aの抵当権及び被担保債権が存続している状態で,Dの抵当権が実行されるとき,乙建物のために法定地上権が成立する。
4 Aは,乙建物に抵当権を設定していなくても,甲土地とともに乙建物を競売することができるが,優先弁済権は甲土地の代金についてのみ行使できる。
★平成14 解答/4 正答率 71.8%
〔問7〕 AB間の土地売買契約中の履行遅滞の賠償額の予定の条項によって,AがBに対して,損害賠償請求をする場合に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,誤っているのはどれか。
1 賠償請求を受けたBは,自己の履行遅滞について,帰責事由のないことを主張・立証すれば,免責される。
2 Bが,Aの過失を立証して,過失相殺の主張をしたとき,裁判所は損害額の算定にその過失を斟酌することができる。
3 裁判所は,賠償額の予定の合意が,暴利行為として公序良俗違反となる場合でも,賠償額の減額をすることができない。
4 Aは,賠償請求に際して,Bの履行遅滞があったことを主張・立証すれば足り,損害の発生や損害額の主張・立証をする必要はない。
★平成14 解答/3 正答率 57.4%
〔問8〕 Aは,A所有の土地を,Bに対し,1億円で売却する契約を締結し,手付金として1,000万円を受領した。Aは,決済日において,登記及び引渡し等の自己の債務の履行を提供したが,Bが,土地の値下がりを理由に残代金を支払わなかったので,登記及び引渡しはしなかった。この場合,民法の規定及び判例によれば,次の記述のうち誤っているものはどれか。
1 Aは,この売買契約を解除せず,Bに対し,残代金の支払を請求し続けることができる。
2 Aは,この売買契約を解除するとともに,Bに対し,売買契約締結後解除されるまでの土地の値下がりによる損害を理由として,賠償請求できる。
3 Bが,AB間の売買契約締結後,この土地をCに転売する契約を締結していた場合で,Cがやはり土地の値下がりを理由としてBに代金の支払をしないとき,Bはこれを理由として,AB間の売買契約を解除することはできない
4 Bが,AB間の売買契約締結後,この土地をCに転売する契約を締結していた場合,Aは,AB間の売買契約を解除しても,Cのこの土地を取得する権利を害することはできない。
★平成14 解答/4 正答率 51.6%
〔問9〕 AがBに建物を売却し,代金受領と引換えに建物を引き渡し後に,Bがこの建物に隠れた瑕疵があることを発見したが,売主の瑕疵担保責任についての特約はない。この場合,民法の規定及び判例によれば,次の記述のうち誤っているものはどれか。
1 Bは,この瑕疵がAの責めに帰すべき事由により生じたものであることを証明した場合に限り,この瑕疵に基づき行使できる権利を主張できる。
2 Bは,この売買契約を解除できない場合でも,この瑕疵により受けた損害につき,Aに対し賠償請求できる。
3 Bが,Aに対し,この瑕疵に基づき行使できる権利は,Bが瑕疵を知った時から1年以内に行使しなければならない。
4 Bは,この瑕疵があるために,この売買契約を締結した目的を達することができない場合に限り,この売買契約を解除できる。
★平成14 解答/1 正答率 80.3%
〔問10〕 Aが,A所有の不動産の売買をBに対して委任する場合に関する次の記述は,民法の規定によれば,正しいものはどれか。なお,A及びBは宅地建物取引業者ではないものとする。
1 不動産のような高価な財産の売買を委任する場合には,AはBに対して委任状を交付しないと,委任契約は成立しない。
2 Bは,委任契約をする際、有償の合意をしない限り,報酬の請求をすることができないが,委任事務のために使った費用とその利息は,Aに請求することができる。
3 Bが当該物件の価格の調査など善良なる管理者の注意義務を怠ったため,不動産売買についてAに損害が生じたとしても,報酬の合意をしていない以上,AはBに対して賠償の請求をすることができない。
4 委任はいつでも解除することができるから,有償の合意があり,売買契約成立寸前にAが理由なく解除してBに不利益を与えたときでも,BはAに対して損害賠償を請求することはできない。
★平成14 解答/2 正答率 85.8%
〔問11〕 Aの被用者Bと,Cの被用者Dが,A及びCの事業の執行につき、共同してEに対し不法行為をし,A,B,C及びDが,Eに対し損害賠償を負担した場合に関する次の記述は,民法の規定及び判例によれば,誤っているものはどれか。
1 Aは,Eに対するBとDの加害割合が6対4である場合は,Eの損害全額の賠償請求に対して,損害の6割に相当する金額について賠償の支払をする責任を負う。
2 Aが,自己の負担部分を超えて,Eに対し損害を賠償したときは,その超える部分につき,Cに対し,Cの負担部分の限度で求償することができる。
3 Aは,Eに対し損害賠償債務を負担したことに基づき損害を被った場合は,損害の公平な分担という見地から信義則上相当と認められる限度において,Bに対し,損害の賠償又は求償の請求をすることができる。
4 Dが,自己の負担部分を超えて,Eに対し損害を賠償したときは,その超える部分につき,Aに対し,Aの負担部分の限度で求償することができる。
★平成14 解答/1 正答率 43.2%
〔問12〕 相続の承認及び放棄に関する次の記述のうち,民法の規定によれば,誤っているものはどれか。
1 相続の放棄をする場合,その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。
2 相続人が数人あるときは,限定承認は,共同相続人の全員が共同してのみこれをすることができる。
3 相続人が,自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヵ月(家庭裁判所が期間の伸長をした場合は当該期間)以内に,限定承認又は放棄をしなかったときは,単純承認をしたものとみなされる。
4 被相続人の子が,相続の開始後に相続放棄をした場合,その者の子がこれを代襲して相続人となる。
★平成14 解答/4 正答率 87.2%
〔問13〕 Aが,平成4年8月,Bに土地を賃貸し,Bがその土地上に建物を所有している場合の契約終了に伴う建物買取請求権に関する次の記述のうち,借地借家法の規定及び判例によれば,誤っているものはどれか。
1 AB間の借地契約が,公正証書により10年の事業専用の目的で締結された場合には,Bは建物買取請求権を有しない。
2 建物買取請求権は,契約終了の理由を問わず,Bの債務不履行を原因とする契約終了の場合にも,BはAに対して建物の買取りを請求することができる。
3 BがAの承諾を得て土地をCに転貸し,建物を譲渡した場合,AB間,BC間の契約が,ともに期間満了し更新がなければ,CはAに対し直接建物買取請求権を有する。
4 Bが適法にAに建物買取請求権を行使すると,その所有権は直ちにBからAに移転するが,BはAが代金を支払うまで,建物の引渡しを拒むことができる。
★平成14 解答/2 正答率 70.6%
〔問14〕 建物賃貸借契約(以下,この問において「契約」という。)の終了に関する次の記述のうち,借地借家法の規定によれば,正しいものはどれか。
1 期間の定めのある建物賃貸借において,賃貸人が,期間満了の1年前から6月前までの間に,更新しない旨の通知を出すのを失念したときは,賃貸人に借地借家法第28条に定める正当事由がある場合でも,契約は期間満了により終了しない。
2 期間の定めのある建物賃貸借において,賃貸人が,期間満了の10月前に更新しない旨の通知を出したときで,その通知に借地借家法第28条に定める正当事由がある場合は,期間満了後,賃貸人が使用を継続していることについて,賃貸人が異議を述べなくても,契約は期間満了により終了する。
3 期間の定めのある契約が法定更新された場合,その後の契約は従前と同一条件となり,従前と同一の期間の定めのある賃貸借契約となる。
4 期間の定めのない契約において,賃貸人が,解約の申入れをしたときで,その通知に借地借家法第28条に定める正当事由がある場合は,解約の申入れの日から3月を経過した日に,契約は終了する。
★平成14 解答/1 正答率 66.3%
〔問15〕 不動産登記の申請に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
1 権利に関する登記の申請をするときは,申請人又はその代理人は必ずしも登記所に出頭しなくてもよいので,郵送により登記申請をすることができる。
2 委任による登記申請の代理権は,本人の死亡によって消滅する。
3 登記の申請は,登記権利者及び登記義務者が共同してするのが原則であるが,相続による登記は,登記権利者のみで申請することができる。
4 登記権利者及び登記義務者が共同して申請することを要する登記について,登記義務者が申請に協力しない場合には,登記権利者が登記義務者に対し登記手続を求める旨の判決を得れば,その登記義務者の申請は要しない。
★平成14 解答/2 正答率 39.2%
平成13年 権利関係
平成13年度
権利関係
*********************************
〔問1〕 A・B・Cが,持分を6・2・2の割合とする建物を共有している場合に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,正しいものはどれか。
1 Aが,B・Cに無断で,この建物を自己の所有としてDに売却した場合は,その売買契約は有効であるが,B・Cの持分については,他人の権利の売買となる。
2 Bが,その持分に基づいて単独でこの建物全部を使用している場合は,A・Cは,Bに対して,理由を明らかにすることなく当然に,その明渡しを求めることができる。
3 この建物をEが不法占有している場合には,B・Cは単独でEに明渡しを求めることはできないが,Aなら明渡しを求めることができる。
4 裁判による共有物の分割では,Aに建物を取得させ,AからB・Cに対して適正価格で賠償させる方法によることは許されない。
★平成13 解答/1 正答率 61.6%
〔問2〕 Aが,Bに住宅用地を売却した場合の錯誤に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,誤っているものはどれか。
1 Bが,Aや媒介業者の説明をよく聞き,自分でもよく調べて,これなら住宅が建てられると信じて買ったが,地下に予見できない空洞(古い防空壕)があり,建築するためには著しく巨額の費用が必要であることが判明した場合,Bは,売買契約は錯誤によって無効であると主張できる。
2 売買契約に要素の錯誤があった場合は,Bに代金を貸し付けたCは,Bがその錯誤を認めず,無効を主張する意思がないときでも,Aに対し,Bに代位して,無効を主張することができる。
3 Aが,今なら課税されないと信じていたが,これをBに話さないで売却した場合,後に課税されたとしても,Aは,この売買契約が錯誤によって無効であるとはいえない。
4 Bは,代金をローンで支払うと定めて契約したが,Bの重大な過失によりローン融資を受けることができない場合,Bは,錯誤による売買契約の無効を主張することはできない。
★平成13 解答/2 正答率 66.7%
〔問3〕 A所有の甲地は袋地で,Aが所有していない回りの士地(囲繞地)を通る通路を開設しなければ公道に出ることができない。この場合,民法の規定及び判例によれば,次の記述のうち正しいものはどれか。
1 Aは,囲繞地の所有者に代償を支払えば,自己の意思のみによって通行の場所及び方法を定め,囲繞地に通路を開設することができる。
2 Bが,Aから甲地を譲り受けた場合には,Bは,所有権移転の登記を完了しないと,囲繞地に通路を開設することができない。
3 甲地が,A及びCの共有地の分割によって袋地となったときには,Aは,Cが所有する分割後の残余地にしか通路を開設することができない。
4 甲地が,D所有の土地を分筆してAに売却した結果,袋地になった場合で,Dが,甲地の譲渡後その残余地である乙地をEに売却したときには,Aは乙地に通路を開設することができない。
★平成13 解答/3 正答率 41.8%
〔問4〕 AとBとが共同で,Cから,C所有の土地を2,000万円で購入し,代金を連帯して負担する(連帯債務)と定め,CはA・Bに登記,引渡しをしたのに,A・Bが支払をしない場合の次の記述のうち,民法の規定によれば,正しいものはどれか。
1 Cは,Aに対して2,000万円の請求をすると,それと同時には,Bに対しては,全く請求をすることができない。
2 AとBとが,代金の負担部分を1,000万円ずつと定めていた場合,AはCから2,000万円請求されても,1,000万円を支払えばよい。
3 BがCに2,000万円を支払った場合,Bは,Aの負担部分と定めていた1,000万円及びその支払った日以後の法定利息をAに求償することができる。
4 Cから請求を受けたBは,Aが,Cに対して有する1,000万円の債権をもって相殺しない以上,Aの負担部分についても,Bからこれをもって相殺することはできない。
★H13 解答/3 正答率 78.1%
〔問5〕 AからB,BからCに,甲地が,順次売却され,AからBに対する所有権移転登記がなされた。この場合,民法の規定及び判例によれば,次の記述のうち誤っているものはどれか。
1 Aが甲地につき全く無権利の登記名義人であった場合,真の所有者Dが所有権登記をBから遅滞なく回復する前に,Aが無権利であることにつき善意のCがBから所有権移転登記を受けたとき,Cは甲地の所有権をDに対抗できる。
2 BからCへの売却後,AがAB間の契約を適法に解除して所有権を取り戻した場合,Aが解除を理由にして所有権登記をBから回復する前に,その解除につき善意のCがBから所有権移転登記を受けたときは,Cは甲地の所有権をAに対抗できる。
3 BからCへの売却前に,AがAB間の契約を適法に解除して所有権を取り戻した場合,Aが解除を理由にして所有権登記をBから回復する前に,その解除につき善意のCがBから甲地を購入し,かつ,所有権移転登記を受けたときは,Cは甲地の所有権をAに対抗できる。
4 BからCへの売却前に,取得時効の完成により甲地の所有権を取得したEがいる場合,Eがそれを理由にして所有権登記をBから取得する前に,Eの取得時効につき善意のCがBから甲地を購入し,かつ,所有権移転登記を受けたときは,Cは甲地の所有権をEに対抗できる。
★H13 解答/1 正答率 40.5%
〔問6〕 契約当事者が死亡した場合に関する次の記述は,民法の規定によれば,誤っているものはどれか。
1 委任契約において,委任者または受任者が死亡した場合,委任契約は終了する。
2 使用貸借契約において,貸主または借主が死亡した場合,使用貸借契約は効力を失う
3 組合契約において,組合員が死亡した場合,当該組合員は組合契約から脱退する。
4 定期贈与契約 (定期の給付を目的とする贈与契約) において,贈与者または受贈者が死亡した場合,定期贈与契約は効力を失う。
★H13 解答/2 正答率 51.2%
〔問7〕 Aは,Bから3,000万円の借金をし,その借入金債務を担保するために,A所有の甲地と,乙地と,乙地上の丙建物の上に,いずれも第1順位の普通抵当権 (共同抵当)を設定し,その登記を経た。その後甲地については,第三者に対して第2順位の抵当権が設定され,その登記がされたが,第3順位以下の担保権者はいない。この場合,民法の規定によれば,次の記述のうち誤っているものはどれか。
1 甲地が1,500万円,乙地が2,000万円,丙建物が500万円で競売され,同時に代価を配当するとき,Bはその選択により,甲地及び乙地の代金のみから優先的に配当を受けることができる。
2 甲地のみが1,500万円で競売され,この代価のみがまず配当されるとき,Bは,甲地にかかる後順位抵当権者が存在しても,1,500万円全額(競売費用等は控除)につき配当を受けることができる。
3 Bは,Aの本件借入金債務の不雇行による遅延損害金については,一定の場合を除き,利息その他の定期金と通算し,最大限,最後の2年分しか,本件登記にかかる抵当権の優先弁済権を主張することができない。
4 Bと,甲地に関する第2順位の抵当権者は,合意をして,甲地上の抵当権の順位を変更することができるが,この順位の変更は,その登記をしなければ効力が生じない。
★H13 解答/1 正答率 47.2%
〔問8〕 Aが,B所有の建物の売却(それに伴う保存行為を含む。 )についてBから代理権を授与されている場合に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,正しいものはどれか。
1 Aが,Bの名を示さずCと売買契約を締結した場合には,Cが,売主はBであることを知っていても,売買契約はAC間で成立する。
2 Aが,買主Dから虚偽の事実を告げられて売買契約をした場合でも,Bがその事情を知りつつAに対してDとの契約を指図したものであるときには,BからDに対する詐欺による取消はできない。
3 Aが,買主を探索中,台風によって破損した建物の一部を,Bに無断で第三者に修繕させた場合,Bには,修繕代金を負担する義務はない。
4 Aは,急病のためやむを得ない事情があってもBの承諾がなければ,さらにEを代理人として選任しBの代理をさせることはできない。
★H13 解答/2 正答率 77.8%
〔問9〕 Aは,BからB所有の建物を賃借し,特段の定めをすることなく,敷金として50万円をBに交付した。この場合のAのBに対する敷金返還請求権に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,正しいものはどれか。
1 賃貸借契約期開中でも,Bの返済能力に客観的な不安が生じた場合は,Aは,賃料支払債務と敷金返還請求権とを対当額にて相殺することができる。
2 敷金返還請求権は,賃貸借契約と不可分であり,Aは,Bの承諾があったとしても,これをAの債権者に対して担保提供することができない。
3 賃貸借契約が終了した場合,建物明渡債務と敷金返還債務とは常に同時履行の関係にあり,Aは,敷金の支払と引換えにのみ建物を明け渡すと主張できる。
4 Bは,Aの,賃貸借契約終了時までの未払賃料については,敷金から控除できるが,契約終了後明渡しまでの期間の賃料相当損害額についても,敷金から控除できる。
★H13 解答/4 正答率 62.4%
〔問10〕 甲建物の占有者である(所有者ではない。)Aは,甲建物の壁が今にも剥離しそうであると分かっていたのに,甲建物の所有者に通知せず,そのまま放置するなど,損害発生の防止のため法律上要求される注意を行わなかった。そのために壁が剥離して通行人Bが死亡した。この場合,Bの相続人からの不法行為に基づく損害賠償請求に関する次の記述は,民法の規定及び判例によれば,誤っているものはどれか。
1 Bが即死した場合,B本人の損害賠償請求権は観念できず,その請求権の相続による相続人への承継はない。
2 Bに配偶者と子がいた場合は,その配偶者と子は,Bの死亡による自己の精神上の苦痛に関し,自己の権利として損害賠償請求権を有する。
3 Bの相続人は,Aに対しては損害賠償請求ができるが,甲建物の所有者に対しては,損害賠償請求ができない。
4 壁の剥離につき,壁の施工業者にも一部責任がある場合には,Aは,その施工業者に対して求償権を行使することができる。
★H13 解答/1 正答率 41.3%
〔問11〕 被相続人Aの相続人の法定相続分に関する次の記述のうち,民法の規定によれば,正しいものはどれか。
1 AとBが婚姻中に生まれたAの子Cは,AとBの離婚の際,親権者をBと定められたが,Aがその後再婚して,再婚にかかる配偶者がいる状態で死亡したときは,Cは法定相続分はない。
2 Aに実子がなく,3人の養子がいる場合,法定相続分を有する養子は2人に限られる。
3 Aが死亡し,配偶者D及びその2人の子供E,Fで遺産分割及びそれに伴う処分を終えた後,認知の訴えの確定により,さらに摘出でない子Gが1人いることが判明した。Gの法定相続分は1/6である。
4 Aに子が3人あり、Aの死亡の際、2人は存命であったが,1人は既に死亡していた。その死亡した子には2人の嫡出子H,Iがいた。A死亡の際,配偶者もいなかった場合,Hの法定相続分は1/6である。
★H13 解答/4 正答率 74.0%
〔問12〕 Aは,昭和46年(西暦1971年)8月,Bから,その所有地を,建物の所有を目的として存続期間30年の約定で賃借し,その後A所有の建物を同土地上に建築し,A名義の所有権保存登記をしてきた。この場合,借地借家法の規定によれば,次の記述のうち正しいものはどれか。
1 平成13年(西暦2001年)8月の契約更新時に,AB間の合意により,更新後の存続期間を10年と定めることができる。
2 平成13年8月の契約更新時に,AB間の合意により,今回の更新は旧借地法によるものとするが,次回以降の更新は借地借家法本則によるものとする旨定めることができる。
3 Aは平成1 2年7月に再築のため建物を取り壊し,土地の上の見やすい場所に<旧建物を特定するために必要な事項,取り壊した日,建物を新たに築造する旨>を掲示した。この掲示が存続していれば,建物が未完成でも,平成13年8月時点で,Aは本件借地権を第三者に対抗できる。
4 平成13年8月の契約更新後,更新期間満了前に,本件借地上のA所有建物が朽廃した場合,本件借地権は消滅しない。
★H13 解答/3 正答率 50.5%
〔問13〕 賃貸人A(個人)と賃借人B(個人)との間の居住用建物の賃貸借契約に関する次の記述のうち,借地借家法の規定及び判例によれば,誤っているものはどれか。
1 Bが家賃減額の請求をしたが,家賃の減額幅についてAB間に協議が調わず裁判になったときは,Aは,その裁判が確定するまでの期間は,Aが相当と認める金額の家賃を支払うようにBに請求できる。
2 Bが家賃減額の請求をしたが,家賃の減額幅についてAB間に協議が調わず裁判になったときは,その請求にかかる一定額の減額を正当とする裁判が確定した時点以降分の家賃が減額される。
3 家賃が,近傍同種の建物の家賃に比較して不相当に高額になったときは,契約の条件にかかわらず,Bは,将来に向かって家賃の減額を請求することができる。
4 AB間で,3年間は家賃を減額しない旨特に書面で合意した場合,その特約は効力を有しない。
★H13→ 解答/2 正答率 50.7%
〔問14〕 1棟の建物を区分した建物(以下この問において「区分建物」という。)についての登記に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
1 表題登記がされていない区分建物を建築者から取得した者は,当該区分建物の表題登記を申請する義務はない。
2 区分建物の床面積は,壁その他の内側線で囲まれた部分の水平投影面積により算出される。
3 区分建物が規約による共用部分である旨の登記は,当該区分建物の登記記録の表題部にされる。
4 区分建物について敷地権の表示が登記されたときは,敷地権の目的たる土地の登記記録の表題部に敷地権である旨の登記がされる。
★H13→ 解答/40 正答率 36.7%
〔問15〕 建物の区分所有等に関する法律に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。
1 最初に建物の専有部分の全部を所有する者は,公正証書により,共用部分の全部について持分割合を定める規約を設定することができる。
2 一部共用部分に関する事項で区分所有者全員の利害に関係しないものについての区分所有者全員の規約の設定,変更,又は廃止は,当該一部共用部分を共用すべき区分所有者全員の承諾を得なければならない。
3 管理者は,規約の定め又は集会の決議があっても,その職務に関し区分所有者のために,原告又は被告となることができない。
4 管理者は,少なくとも毎年1回集会を招集しなければならないが,集会は,区分所有者全員の同意があるときは,招集の手続を経ないで開くことができる。
★H13→ 解答/4 正答率 30.5%
平成12 権利関係
平成12 権利関係
〔問1〕 Aが,Bに代理権を授与してA所有の土地を売却する場合に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,正しいものはどれか。
1 Bが未成年者であるとき,Bは,Aの代理人になることができない。
2 Bは,自己の責任により,自由に復代理人を選任することができる。
3 Bは,Aの同意がなければ,この土地の買主になることができない。
4 Bは,Aが死亡した後でも,Aの代理人としてこの土地を売却できる。
→ 解答/3
〔問2〕 Aは,BのCに対する金銭債務を担保するため,A所有の土地に抵当権を設定し,物上保証人となった。この場合,民法の規定及び判例によれば,次の記述のうち誤っているものはどれか。
1 Aは,この金銭債務の消滅時効を援用することができる。
2 Aが,Cに対し,この金銭債務が存在することを時効期間の経過前に承認した場合,当該債務の消滅時効の中断の効力が生じる。
3 Bが,Cに対し,この金銭債務が存在することを時効期間の経過前に承認した場合,Aは,当該債務の消滅時効の中断の効力を否定することができない。
4 CからAに対する不動産競売の申立てがされた場合,競売開始決定の正本がBに送達された時に,この金銭債務の消滅時効の中断の効力が生じる。
→ 解答/2
〔問3〕 Aが,Bに賃貸している建物の賃料債権の先取特権に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,誤っているものはどれか。
1 Aは,賃貸した建物内にあるB所有の家具類だけでなく,Bが自己使用のため建物内に持ち込んだB所有の時計や宝石類に対しても,先取特権を有する。
2 Bが,建物をCに転貸したときには,Aは,Cが建物内に所有する動産に対しても,先取特権を有する。
3 Bがその建物内のB所有の動産をDに売却したときは,Aは,その代金債権に対して,払渡し前に差押えをしないで,先取特権を行使することができる。
4 AがBから敷金を預かっている場合には,Aは,賃料債権の額から敷金を差し引いた残額の部分についてのみ先取特権を有する。
→ 解答/3
〔問4〕 Aが,債権者の差押えを免れるため,Bと通謀して,A所有地をBに仮装譲渡する契約をした場合に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,誤っているものはどれか。
1 BがAから所有権移転登記を受けていた場合でも,Aは,Bに対して,AB間の契約の無効を主張することができる。
2 Cが,AB間の契約の事情につき善意無過失で,Bからこの土地の譲渡を受けた場合は,所有権移転登記を受けていないときでも,Cは,Aに対して,その所有権を主張することができる。
3 DがAからこの土地の譲渡を受けた場合には,所有権移転登記を受けていないときでも,Dは,Bに対して,その所有権を主張することができる。
4 Eが,AB間の契約の事情につき善意無過失で,Bからこの土地の譲渡を受け,所有権移転登記を受けていない場合で,Aがこの土地をFに譲渡したとき,Eは,Fに対して,その所有権を主張することができる。
→ 解答/4
〔問5〕 根抵当権に関する次の記述のうち,民法の規定によれば,正しいものはどれか。
1 根抵当権は,根抵当権者が債務者に対して有する現在及び将来の債権をすべて担保するという内容で,設定することができる。
2 根抵当権の極度額は,いったん登記がされた後は,後順位担保権者その他の利害関係者の承諾を得た場合でも,増額することはできない。
3 登記された極度額が1億円の場合,根抵当権者は,元本1億円とそれに対する最後の2年分の利息及び損害金の合計額につき,優先弁済を主張できる。
4 根抵当権の被担保債権に属する個別の債権が,元本の確定前に,根抵当権者から第三者に譲渡された場合,その第三者は,当該根抵当権に基づく優先弁済を主張できない。
→ 解答/4
〔問6〕 Aが,Bに対して有する金銭債権をCに譲渡した場合に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,誤っているものはどれか。
1 譲渡通知は,AがBに対してしなければならないが,CがAの代理人としてBに対して通知しても差し支えない。
2 Bが譲渡を承諾する相手方は,A又はCのいずれでも差し支えない。
3 Aが,CとDとに二重譲渡し,それぞれについて譲渡通知をした場合で,Cに係る通知の確定日付はDに係るものより早いが,Bに対しては,Dに係る通知がCに係る通知より先に到達したとき,Dへの債権譲渡が優先する。
4 Bが,既にAに弁済していたのに,AのCに対する譲渡を異議を留めないで承諾した場合,Bは,弁済したことをCにもAにも主張することができない。
→ 解答/4
〔問7〕 買主Aと売主Bとの間で建物の売買契約を締結し,AはBに手付を交付したが,その手付は解約手付である旨約定した。この場合,民法の規定及び判例によれば,次の記述のうち正しいものはどれか。
1 手付の額が売買代金の額に比べて僅少である場合には,本件約定は,効力を有しない。
2 Aが,売買代金の一部を支払う等売買契約の履行に着手した場合は,Bが履行に着手していないときでも,Aは,本件約定に基づき手付を放棄して売買契約を解除することができない。
3 Aが本件約定に基づき売買契約を解除した場合で,Aに債務不履行はなかったが,Bが手付の額を超える額の損害を受けたことを立証できるとき,Bは,その損害全部の賠償を請求することができる。
4 Bが本件約定に基づき売買契約を解除する場合は,Bは,Aに対して,単に口頭で手付の額の倍額を償還することを告げて受領を催告するだけでは足りず,これを現実に提供しなければならない。
→ 解答/4
〔問8〕 Aが,その過失によってB所有の建物を取り壊し,Bに対して不法行為による損害賠償債務を負担した場合に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,正しいものはどれか。
1 Aの不法行為に関し,Bにも過失があった場合でも,Aから過失相殺の主張がなければ,裁判所は,賠償額の算定に当たって,賠償金額を減額することができない。
2 不法行為がAの過失とCの過失による共同不法行為であった場合,Aの過失がCより軽微なときでも,Bは,Aに対して損害の全額について賠償を請求することができる。
3 Bが,不法行為による損害と加害者を知った時から1年間,損害賠償請求権を行使しなければ,当該請求権は消滅時効により消滅する。
4 Aの損害賠償債務は,BからAへ履行の請求があった時から履行遅滞となり,Bは,その時以後の遅延損害金を請求することができる。
→ 解答/2
〔問9〕 Aが,Bに対する金銭債務について,代物弁済をする場合に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,正しいものはどれか。
1 Aが,不動産の所有権をもって代物弁済の目的とする場合,Bへの所有権移転登記その他第三者に対する対抗要件を具備するため必要な行為を完了しなければ,弁済としての効力は生じない。
2 Aの提供する不動産の価格が1,000万円で,Bに対する金銭債務が950万円である場合,AB間で清算の取決めをしなければ,代物弁済はできない。
3 Aが,Bに対する金銭債務の弁済に代えて,Cに対するAの金銭債権を譲渡する場合に,その金銭債権の弁済期が未到来のものであるときは,弁済としての効力は生じない。
4 Bは,Aから代物弁済として不動産の所有権の移転を受けた後は,その不動産に隠れた瑕疵があっても,Aの責任を追求することはできない。
→ 解答/1
〔問10〕 被相続人A,相続人B及びC (いずれもAの子) として,Aが遺言をし,又はしようとする場合に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,誤っているものはどれか。
1 Aは,遺言をもって,第三者Dに遺言執行者の指定を委託することができる。
2 Aは,「Aの財産をすべてBに遣贈する。CはBに対して遺留分の減殺請求をしてはならない」旨の遺言をして,CをAの相続から排除することができる。
3 Aが,「Aの甲土地をBに相続させる」旨の遺言をした場合で,その後甲土地を第三者Eに売却し,登記を移転したとき,その遺言は撤回されたものとみなされる。
4 Aは,「Aの乙建物をCに相続させる」旨の遺言をした場合で,Bの遺留分を害しないとき,これをC単独の所有に帰属させることができる。
→ 解答/2
〔問11〕 Aを賃借人,Bを賃貸人としてB所有の土地に建物譲渡特約付借地権を設定する契約 (その設定後30年を経過した日に借地上の建物の所有権がAからBに移転する旨の特約が付いているものとする。) を締結した場合に関する次の記述のうち,借地借家法の規定によれば,誤っているものはどれか。
1 本件契約における建物譲渡の特約は,必ずしも公正証書によって締結する必要はない。
2 Aの借地権は,その設定後30年を経過した日における建物譲渡とともに消滅し,本件契約がABの合意によらずに法定更新されることはない。
3 建物譲渡によりAの借地権が消滅した場合で,Aがその建物に居住しているときは,Aは,直ちに,Bに対して建物を明け渡さなければならず,賃借の継続を請求することはできない。
4 Cが,建物をAから賃借し,Aの借地権消滅後もそこに居住している場合で,Bに対して賃借の継続を請求したときは,一定の場合を除き,BC間に期間の定めのない建物賃貸借がされたものとみなされる。
→ 解答/3
〔問12〕 Aが,B所有の建物を賃借している場合に関する次の記述のうち,借地借家法の規定によれば,正しいものはどれか。
1 Aが,建物に自ら居住せず,Bの承諾を得て第三者に転貸し,居住させているときは,Aは,Bからその建物を買い受けた者に対し,賃借権を対抗することができない。
2 Aが建物を第三者に転貸しようとする場合に,その転貸によりBに不利となるおそれがないにもかかわらず,Bが承諾を与えないときは,裁判所は,Aの申立てにより,Bの承諾に代わる許可を与えることができる。
3 建物の転貸借がされている場合 (転借人C) において,AB間の賃貸借が正当の事由があり期間の満了によって終了するときは,Bは,Cにその旨通知しないと,Aに対しても,契約の終了を主張することができない。
4 Bの建物がDからの借地上にあり,Bの借地権の存続期間の満了によりAが土地を明け渡すべきときは,Aが期間満了をその1年前までに知らなかった場合に限り,Aは,裁判所に対し土地の明渡しの猶予を請求することができる。
→ 解答/3
〔問13〕● 建物の区分所有等に関する法律に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。
1 区分所有者が管理者を選任する場合は,集会の決議の方法で決することが必要で,規約によっても,それ以外の方法による旨定めることはできない。
2 建物の価格の1/2以下に相当する部分が滅失した場合において,滅失した共用部分を復旧するときは,集会の決議の方法で決することが必要で,規約によっても,それ以外の方法による旨定めることはできない。
3 共用部分の変更 (その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。) は,集会の決議の方法で決することが必要で,規約によっても,それ以外の方法による旨定めることはできない。
4 管理者をその職務に関し区分所有者のために原告又は被告とする場合は,集会の決議の方法で決することが必要で,規約によっても,それ以外の方法による旨定めることはできない。
→ 解答/3
●法改正
問13の肢3の『共用部分の変更』の定義〔区分所有法17条1項〕は,平成14年の法改正で変更があったため,修正しています。
〔問14〕 所有権保存の登記に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
1 所有権の登記がされていない建物について,その所有権が自己にあることを確定判決によって証明できる者は,当該建物の所有権保存の登記を申請することができる。
2 被相続人が土地の登記記録の表題部所有者になっている場合において,その相続人が複数あるときは,共同相続人の1人は,自己の持分についてのみ所有権保存の登記を申請することができる。
3 土地収用法による収用によって土地の所有権を取得した者は,直接自己名義に当該土地の所有権保存の登記を申請することができる。
4 1棟の建物を区分した建物の登記記録の表題部所有者から所有権を取得した者は,直接自己名義に当該建物の所有権保存の登記を申請することができる。ただし,この場合において,当該建物が敷地権付き区分建物であるときは,当該敷地権の登記名義人の承諾を得なければならない。
→ 解答/2
〔問15〕 土地の分筆の登記に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
1 土地の分筆の登記の申請人は,登記記録の権利部に記録された所有権の登記名義人でなければならない
2 土地の分筆の登記を申請する場合に提供する分割前の土地の地積は,登記記録上の地積と一致していなければならない。
3 抵当権の登記がある土地の分筆の登記を申請する場合において,分割後の数筆の土地にその抵当権が存続するときは,申請情報と併せて共同担保目録を添付情報として提供しなければならない。なお,登記申請しようとする登記所は,共同担保目録について不動産登記法附則第3条の指定を受けていない登記所(共担未指定登記所)であるとする。
4 承役地についてする地役権の登記がある土地の分筆の登記を申請する場合において,分筆後の土地の一部に地役権が存続するときは,申請情報と併せて,当該地役権設定の範囲を証する地役権者が作成した情報及び地役権図面を添付情報として提供しなければならない。
→ 解答/1